カツオ節の健康パワーを食す。
カツオ節の持つ健康パワーを食す。
日本の食卓に欠かせない調味料の一つとしてカツオ節があげられます。
出汁を取る食材としてポピュラーなカツオ節ですが、その成分や効果・効能を知らずに食している方が多いようです。
今回は、そのカツオ節の美味しい食べ方や、健康成分などをまとめました。
カツオ節の歴史
古くから魚介類を食用とする日本人にとってカツオも例外ではなく縄文時代の遺跡からは、カツオが食べられていた跡が見つかっており、この頃には干物も作られていたのではないかと考えられていて、その後の飛鳥時代の献納品の中にも干し鰹の献上の記録も見られます。
ただ、まだまだ現在のカツオ節には程遠く、保存用に次第に固くなってきた室町時代の「花鰹」を経て、江戸時代になって燻製で魚肉中の水分を除去する燻乾法での製法が確立されていきました。
一説には江戸時代に土佐の難破船が、漂着した先でカツオを干していて薪で燻してできた偶然の産物だとの説もありますが、紀州を中心に本格的な長期保存の製法が考えられ、土佐から伊豆、薩摩などへ伝えられていることになったとの説が有力なようです。
他にもモルディブ起源説、沖縄起源説なども有り、興味深いところです。
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かつお節の着目すべき健康成分はイノシン酸
うま味物質として知られているものにグルタミン酸、グアニル酸などがありますが特に着目したいのはイノシン酸です。
日本の食材の中では特にかつお節に多く含ませているうま味成分です。
カツオが釣り上げられて死ぬと、分解の為にその自己分解酵素が活性化して発生するのがイノシン酸です。
このイノシン酸をシッカリと閉じ込めたのがかつお節の栄養成分と美味しさの秘密なのです。
かつお節を作る工程の中には、このイノシン酸を閉じ込める伝統の技術が工夫されているのです。
イノシン酸の正体は細胞の中のエネルギーを蓄える物質であるATPがカツオ本体の死によって今度は分解酵素に生まれ変わったものになります。
魚の中でもカツオやマグロなどは、一日中泳ぎ回ってる回遊魚は消費するエネルギー量も半端ないので、そのチカラの源となるATPも豊富に含まれているのです
初物好きの江戸っ子には、「初物を食べれば75日寿命が延びる」という諺があったほど、取れたてのカツオには豊富な栄養素のATPとそれを分解して発生するイノシン酸が多く含まれているのです。
では、かつお節を作る工程のドコでイノシン酸が多く発生しているのかその工程を見てみます。
カツオ節作りの工程から生まれるイノシン酸
- 下処理(三枚におろす)
- 煮熱い(蒸して身を固める)
- 骨抜き(骨や皮を取り除く)
- なまり節(巻子していない状態の一次加工食品)
- 焙乾(燻して、蒸して乾燥。殺菌・保存処理)
- 荒節(カビづけ前の状態)
- 削り(形を整える)
- カビづけ(カビづけと削りでうま味アップと乾燥)
- 枯節(かつお節の完成)
この中でカツオを釣り上げて死んだ直後から、ATPが酵素の働きでイノシン酸に変化しています。
そのたっぷりの栄養素を2の煮熱いの行程でイノシン酸を封じ込めます。
最後のカビづけでイノシン酸をさらに擬縮してうま味がアップされるのです。
イノシン酸の健康パワー
新陳代謝を活発にする
イノシン酸は新しい細胞を作る設計図となるDNAを構成している物質の原料となっています。
DNAを構成するアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4つの物質のうちアデニンとグアニンはイノシン酸から作られるのです。
イノシン酸は肝臓でも作られるのですが、細胞の活性化のピークは20歳がピークになります。生れてからずっと成長してきた細胞は20歳を境に生産能力を加工させていくのです。
それ以降はイノシン酸を自力で生産する能力はどんどん低下していきますので、細胞の原料となるイノシン酸は外部から摂取するしかないのです。
細胞がリフレッシュしていかなければ、新陳代謝がうまくいかず、老化や肌荒れ、肥満が進行していくのです。
イノシン酸を摂取して細胞を活性化させることは老化防止、美容・健康。免疫力アップに役立つことになります。
体内で生成できないDNAの一部をかつお節に含まれるイノシン酸から摂取してアンチエイジングなどに役立てていきましょう。
アレルギーを改善する
イノシン酸はアレルギー反応の元凶であるTh2を抑える働きのあるIgA抗体を活性化させる働きを持っています。
IgA抗体は口腔や呼吸器などの粘膜をまもるパワーを秘めていますのでイノシン酸を摂取する事で、花粉症などのアレルギーへの効果が研究されています。
かつお節には多くのイノシン酸が含まれていますので今後、アレルギーへの効果にも期待していきたいですね。
かつお節のもう一つの健康成分はペプチド
かつお節に含まれる特筆すべき成分には、イノシン酸の他にペプチドがあげられます。
複数のアミノ酸が結びついたペプチドは、血圧の調整やブドウ糖の濃度の調整など体の機能を助ける役割をします。
ペプチドの健康パワー
疲労回復
集中力アップ